オートデスクのライセンスの種類
このページでは、無料体験版のインストール方法について解説していきます。
まずはライセンスタイプについて解説したいと思います。
Autodesk製品のサブスクリプションライセンス形態は、基本的にはシングルユーザー、ネットワーク ライセンスの2種類があります。またネットワークライセンスの形態として、シンクライアント環境で利用するセッション用ネットワーク ライセンスというのもあります。
シングルユーザー
シングルユーザー(旧スタンドアロン ライセンス)は古くからあるライセンスタイプで、コンピュータにソフトウェアをインストールして使用者を固定するタイプのライセンスです。
例えば、Inventorを1ライセンス購入した場合、指定したユーザーはPCにInventorをインストールして使用することができます。インストールできるPCは3台まで可能ですが、指定したユーザー以外は使用することはできません。
ライセンスを共有する必要がない場合や、別のコンピュータに移設させる必要がない場合はこちらをお勧めします。
- 個人利用向け:ライセンスは特定のユーザーに割り当てられ、そのユーザーのみが使用可能です。
- ネットワークが不要:ライセンスサーバーへの接続が不要なので利用可能で、オフライン環境でも動作します。
ネットワーク ライセンス
ネットワーク ライセンスは、スタンドアロンライセンスとは異なり、ライセンスの管理をサーバーで行い、ユーザーがソフトウェア起動時にネットワーク経由でライセンスサーバー側で利用可能かをチェックします。ライセンスが利用可能な場合は、ライセンスサーバー上のライセンスが1つ消費され、ソフトウェアを使用できるという仕組みです。以下のメリットから企業や教育機関で利用するのに向いています。
- コスト削減:スタンドアロンと異なり購入したライセンス数以上のコンピュータにソフトウェアをインストールでき、ライセンス数を最適化できるため、無駄なコストを削減できます。
- 集中管理: ライセンスサーバを使用してライセンスを一元管理できるため、管理が簡単になります。
- 利用状況の把握: ライセンスの使用状況を追跡できるため、リソースの最適化が可能です。
ネットワークライセンスを使用するためには、ライセンスサーバーの準備やネットワークの設定などが必要になりますので、管理者を立ててサーバーの運用、ライセンス数の管理、Autodeskへの窓口業務を担ってもらいましょう。
またこれは大企業向けの契約体系ですが、Token Flexタイプの契約であれば、Autodesk製品すべてを使用することができるため、毎年1年間分のTokenを契約し、ユーザーが使用するとソフトウェアごとに定められたTokenを消費するという契約があります。
これによって毎年どのソフトウェアを、何ライセンス購入すべきか等を検討する必要がなくなるため、管理者側の業務負担が軽減され、またユーザー側においても、ユーザー数の上限を気にする必要がなく、いつでも必要なソフトウェアを使用することができるといったメリットがあります。
セッション用ネットワーク ライセンス
このライセンスは、シンクライアント環境 で利用することを目的に用意されたものです。サーバーでライセンス管理を行うまでは上述のネットワーク ライセンスと同じですが、サーバー上に Autodesk製品をインストールし、ユーザーはリモートデスクトップのような形でサーバーPCの画面を映し出してソフトウェアを操作する点が異なります。
ユーザー側のPCには、マウス操作などをサーバーへ返すための Citrix Receiver というツールをインストールするだけでAutodesk製品をインストールする必要がないため、スペックが低いPCでもサーバー側の高いスペックでソフトウェアを動作することができるため、設備投資を抑えることができるメリットがあります。
また、このライセンスでは、消費されているライセンスのカウント方法もネットワーク ライセンスと異なります。ネットワーク ライセンスでは、ユーザー側のPCであるソフトウェアを起動すると、1ライセンスを消費します。その後、同じユーザーが違うPCでをソフトウェアを起動しても、消費されるライセンス数に変化はありません。言い換えると、1台のコンピュータ上で複数のソフトウェアを起動しても、消費されるライセンスは1つということになります。
しかしシンクライアント環境では、1つのサーバーで複数のユーザーに対してソフトウェアを起動する必要があります。通常の考え方であれば、使用しているPC(サーバー)が1つなので消費されるライセンス数は1つになってしまいますが、セッション用ネットワーク ライセンスでは、起動したソフトウェア(ライセンス)を正しくカウントする仕組みが内部的に導入されています。
ただし、シンクライアント環境はネットワークのスピードが遅いと、操作にタイムラグが発生するため、ユーザーにストレスを与えることや業務効率が下がってしまうことがあります。シンクライアント環境での運用を検討する場合は、事前の検証・評価を実施することをお勧めします。
使用するバージョンの決定
Inventorに限らずAutodesk製品全般に言えることですが、使用するバージョンには注意が必要です。
例えば、AさんはInventor2025のバージョンで作業をしており、BさんはInventor2026で作業をしていたとします。
AさんがInventor2025で作成した3Dモデルや2D図面をBさんがInventor2026で開いて保存してしまうと、それ以降はInventor2026より古いバージョンで開くことはできなくなり、Aさんは作業再開ができなくなります。
つまり新しいのInventorのバージョンでファイルを開いてしまうと、それ以降 古いInventorのバージョンではファイルが開けなくなってしまいます。
そのため特に複数人で作業をする際には、必ずバージョンを統一しておく必要があります。
ただし、後述のパッチファイルをあてると、Inventor2026.1といった形で、マイナーバージョンが付きます。この場合Inventor2026であれば、どのマイナーバージョンであってもモデルを開く(編集する)ことができます。
古いバージョンで作成されたファイルを開くと、以下のマイグレーションしてもよいかの注意喚起メッセージが出るようになっていますので、そこで気づくことはできるのですが、一度新しいバージョンで開いてしまうと、元に戻すことはできませんのでご注意ください。
インストール方法
まずはAutodeskのサイトからダウンロードします。前述の通り、ここでは無料体験版について紹介します。個人で使用するにはAutodeskアカウントが必要になりますので、アカウントを持っていない方は、まずはアカウント作成から必要事項を入力してアカウントを作成してください。
インストールする前の注意事項としては、以下の点です。
- ドライブの空き容量は20GB以上を確保してください。
- インストールには時間の余裕をもって行ってください。(通信速度やPCのスペックにもよりますが、2~3時間はかかるとお考え下さい。)


ショートメッセージに送信されてきたコードを入力します。

ダウンロードしたsetupアプリケーションをダブルクリックします。
そのまま「次へ」を選択します。
※ 2025バージョンから更新プログラムも一緒にインストールされるようになったため、自動的に最新のアップデートバージョンになります。
インストールする場所を設定します。特に理由がない限り、そのままで大丈夫です。
(Cドライブに空き容量がなくDドライブにインストールする場合は、ドライブをCからDに変更して下さい。)

「Inventor コンテンツ ライブラリ」にチェックを入れてダウンロードします。
下2つは特に使用することが無く、必要になった場合は後から追加もできるため、今回はチェックを外します。

インストールされたら下の画面となりますので、「開始」を選択します。
「開始」ではなく「完了」となった場合は、「完了」を押してPCを再起動してください。

再起動した場合は、デスクトップにある起動アイコンからInventorを起動します。
初めてInventorをインストールした方は、こちらの画面は表示されませんが、古いバージョンのInventorがインストールされている方は、下のような設定マイグレーション(引継ぎ)を行うかを聞かれます。
すべてにチェックを入れることで、以前のバージョンの設定が引き継がれます。
引き継ぎたくない場合は、すべてのチェックを外して右下のチェックを押すか、Xボタンを押してください。

初めてInventorを起動した時に次ぎの画面が表示されるので、「Autodesk IDでサインイン」を選択して、IDとパスワードを入力します。

Inventor起動画面の右上の「?」から「バージョン情報」を選択すると、バージョンとビルド番号が表示されます。


